清くて正しい社内恋愛のすすめ
「ふーん」
背中で低い声が聞こえたと思った瞬間、加賀見の長い腕が穂乃莉を包み込んだ。
「ちょ、ちょっと……」
抵抗する間もなく、穂乃莉の顎先は加賀見にもてあそばれるかのように上を向く。
「こういうシチュエーション、いかにも社内恋愛っぽいだろ?」
今にも触れそうな距離で、加賀見の唇が動くのが見えた。
「ま、また、そうやってからかう……」
顔を真っ赤にした穂乃莉が、加賀見を押しのけようとした時、突然入り口の扉が大きな音を立てて鳴りだした。
ピーピーという音は、室内だけでなく廊下にまで響き渡っている。
どうも穂乃莉が資料室に入った後、扉をきちんと閉めていなかったようだ。
「おい……」
「へ?」
「こういう時、半ドアにする奴がどこにいるんだよ!」
加賀見は大きくため息をつくと、腰に手を当てながら頬をむっと膨らませる。
確かに、加賀見の立腹はもっともだ。
でも穂乃莉は、フロアでは決して見せないふてくされた素の加賀見の顔に、次第に嬉しさが込み上げてくる。
――加賀見ってこういう顔するんだ……。
背中で低い声が聞こえたと思った瞬間、加賀見の長い腕が穂乃莉を包み込んだ。
「ちょ、ちょっと……」
抵抗する間もなく、穂乃莉の顎先は加賀見にもてあそばれるかのように上を向く。
「こういうシチュエーション、いかにも社内恋愛っぽいだろ?」
今にも触れそうな距離で、加賀見の唇が動くのが見えた。
「ま、また、そうやってからかう……」
顔を真っ赤にした穂乃莉が、加賀見を押しのけようとした時、突然入り口の扉が大きな音を立てて鳴りだした。
ピーピーという音は、室内だけでなく廊下にまで響き渡っている。
どうも穂乃莉が資料室に入った後、扉をきちんと閉めていなかったようだ。
「おい……」
「へ?」
「こういう時、半ドアにする奴がどこにいるんだよ!」
加賀見は大きくため息をつくと、腰に手を当てながら頬をむっと膨らませる。
確かに、加賀見の立腹はもっともだ。
でも穂乃莉は、フロアでは決して見せないふてくされた素の加賀見の顔に、次第に嬉しさが込み上げてくる。
――加賀見ってこういう顔するんだ……。