清くて正しい社内恋愛のすすめ
バレンタインキス
廊下の奥の会議室からは、キャッキャという黄色い声が漏れ聞こえている。
――今日は一段と、声のトーンが高いんだけど……。
穂乃莉はその声がする会議室を横目に、廊下を進むとフロアの扉を開ける。
もう定時も過ぎているからなのか、今日は特にフロアの中は閑散としていた。
穂乃莉はデスクに戻ると、軽くメールのチェックをしてから帰り支度を始める。
「あれぇ? 穂乃莉さん、もう帰るんですかぁ?」
するとメイク直しをしていたのか、いつもよりパール感の強い目元になった花音がこちらへと向かってくるのが見えた。
「そろそろ上がろうかと思うけど。何か用事あった?」
首を傾げた穂乃莉の顔を、花音がまじまじと近くで覗き込む。
「加賀見さんとは、会社の外で待ち合わせですかぁ?」
「え? 加賀見……? いや、特に、約束してないけど……」
じっと見つめられ、たじたじになりながら口を開いた穂乃莉の肩を、花音が突然ガシッと掴んだ。
「まさか……まさかとは思いますけど、穂乃莉さん。今日が何の日か、わかってます!?」
「え? 今日……?」
――今日は一段と、声のトーンが高いんだけど……。
穂乃莉はその声がする会議室を横目に、廊下を進むとフロアの扉を開ける。
もう定時も過ぎているからなのか、今日は特にフロアの中は閑散としていた。
穂乃莉はデスクに戻ると、軽くメールのチェックをしてから帰り支度を始める。
「あれぇ? 穂乃莉さん、もう帰るんですかぁ?」
するとメイク直しをしていたのか、いつもよりパール感の強い目元になった花音がこちらへと向かってくるのが見えた。
「そろそろ上がろうかと思うけど。何か用事あった?」
首を傾げた穂乃莉の顔を、花音がまじまじと近くで覗き込む。
「加賀見さんとは、会社の外で待ち合わせですかぁ?」
「え? 加賀見……? いや、特に、約束してないけど……」
じっと見つめられ、たじたじになりながら口を開いた穂乃莉の肩を、花音が突然ガシッと掴んだ。
「まさか……まさかとは思いますけど、穂乃莉さん。今日が何の日か、わかってます!?」
「え? 今日……?」