清くて正しい社内恋愛のすすめ
加賀見は手早くジャケットを羽織ると、相田を振り返り「課長、社用車借ります」と声をかける。
「わかった。気をつけて行って来いよ」
相田の声を聞きながら、穂乃莉は震える手で荷物を手繰り寄せようとする。
するとすぐに加賀見がこちら側に回って来て、穂乃莉の荷物と手をギュッと掴んだ。
「大丈夫だ。行けるか?」
加賀見に顔を覗き込まれて、穂乃莉はこくんとうなずく。
そのまま手を引かれながら、駆け足でフロアをぬけた。
エレベーターで駐車場まで降り、二人で社用車に乗り込む。
昼過ぎの大通りは、比較的空いていた。
これならスムーズに駅まで到着できるだろう。
今からすぐ新幹線に飛び乗れば、夕方過ぎには本店に着くはずだ。
穂乃莉は加賀見の運転する車の助手席で、じっと手元を見つめながら、正岡の話を脳内で繰り返す。
正岡は祖母の命には別状はないと言っていた。
それでもあのハツラツとした祖母が倒れたという言葉に、ひどくショックを受けている自分がいる。
「おばあさまに、何かあったらどうしよう……」
穂乃莉はうつむくと、再び震えてくる両手を握り締めた。
状況が何もわからない今、心は不安でたまらずに叫び出しそうだ。
「わかった。気をつけて行って来いよ」
相田の声を聞きながら、穂乃莉は震える手で荷物を手繰り寄せようとする。
するとすぐに加賀見がこちら側に回って来て、穂乃莉の荷物と手をギュッと掴んだ。
「大丈夫だ。行けるか?」
加賀見に顔を覗き込まれて、穂乃莉はこくんとうなずく。
そのまま手を引かれながら、駆け足でフロアをぬけた。
エレベーターで駐車場まで降り、二人で社用車に乗り込む。
昼過ぎの大通りは、比較的空いていた。
これならスムーズに駅まで到着できるだろう。
今からすぐ新幹線に飛び乗れば、夕方過ぎには本店に着くはずだ。
穂乃莉は加賀見の運転する車の助手席で、じっと手元を見つめながら、正岡の話を脳内で繰り返す。
正岡は祖母の命には別状はないと言っていた。
それでもあのハツラツとした祖母が倒れたという言葉に、ひどくショックを受けている自分がいる。
「おばあさまに、何かあったらどうしよう……」
穂乃莉はうつむくと、再び震えてくる両手を握り締めた。
状況が何もわからない今、心は不安でたまらずに叫び出しそうだ。