清くて正しい社内恋愛のすすめ
 忠則の話によると、友人からの勧めで、最初は安い金額で投資話に乗ったらしい。

 でも何度か繰り返すうち驚くほど利益が出て、それに味を占めた忠則は、手をつけてはいけない会社の金に手を出した。

 そして気がつけば、久留島不動産が立ち行かない程の負債を抱えてしまったのだ。


「だからあれ程、気をつけろと言ったのに……! でもどうしてそれが、土地を買い漁ることにつながるのっていうの!?」

 祖母は頭を抱えながら、眉をひそめる。

 穂乃莉もそこが疑問だった。


「あ、あの人が……」

 忠則はパッと顔を上げると、祖母のベッドに縋りつくように手をかける。

「でもあの人が……うちを見かねて、支援してくれるって声をかけてくれたんだ! 大企業だし、心配はいらない」

「どういうこと……?」

「ちょうど土地を探してたらしいんだ。だから久留島の近隣の土地を紹介した。うちにも仲介手数料として、かなりの額を用意してくれてる」

 忠則は嬉々とした顔を覗き込ませる。

「ちょっと、忠則……?」

「だから安心してよ。久留島不動産は、俺がちゃんと立て直して見せるから。穂乃莉にも悪いようにはさせない」

 忠則は興奮した様子で一気にまくし立てると、爛々(らんらん)とした目で穂乃莉を振り返った。
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