清くて正しい社内恋愛のすすめ
寝室に取り残された穂乃莉たちは、誰一人動けなかった。
今目の前に突きつけられている状況に、頭はうまく対処できていない。
それでも穂乃莉の脳裏をかすかによぎる、あの日の東雲のまっすぐな瞳。
――あの夜の東雲さんの瞳は、嘘じゃなかった……。
穂乃莉はぐっと顔を上げると、東雲を追って部屋を飛び出した。
「穂乃莉……!」
後ろから祖母の呼び止める声が聞こえた気がしたが、穂乃莉はそのまま扉をぬける。
みんなが寝静まった本店の廊下を、東雲の姿を探しながら駆け足で通り過ぎた。
すると東雲が、あの中庭を見ながら立ち止まっている姿を見つけた。
「東雲さん、待ってください!」
穂乃莉が声を出すと、東雲は少し驚いたような顔で振り返る。
穂乃莉は息をはぁはぁとつきながら、背の高い東雲の顔を見上げた。
「なぜ、こんなことをするんですか……?」
「なぜ? わかりませんか?」
東雲は静かに穂乃莉を見つめている。
「穂乃莉さん、僕はただあなたを手に入れたいだけなんですよ。久留島不動産の話は、きっかけにすぎない」
「そんな! それでこんな大事を、引き起こしているんですか!? どれだけの人が巻き込まれていると……」
「そうですよ。おかしいでしょう? でも僕はあなたに惹かれて恋をしている。ただそれだけの男です」
「でも……東雲さんは、あの時……」
今目の前に突きつけられている状況に、頭はうまく対処できていない。
それでも穂乃莉の脳裏をかすかによぎる、あの日の東雲のまっすぐな瞳。
――あの夜の東雲さんの瞳は、嘘じゃなかった……。
穂乃莉はぐっと顔を上げると、東雲を追って部屋を飛び出した。
「穂乃莉……!」
後ろから祖母の呼び止める声が聞こえた気がしたが、穂乃莉はそのまま扉をぬける。
みんなが寝静まった本店の廊下を、東雲の姿を探しながら駆け足で通り過ぎた。
すると東雲が、あの中庭を見ながら立ち止まっている姿を見つけた。
「東雲さん、待ってください!」
穂乃莉が声を出すと、東雲は少し驚いたような顔で振り返る。
穂乃莉は息をはぁはぁとつきながら、背の高い東雲の顔を見上げた。
「なぜ、こんなことをするんですか……?」
「なぜ? わかりませんか?」
東雲は静かに穂乃莉を見つめている。
「穂乃莉さん、僕はただあなたを手に入れたいだけなんですよ。久留島不動産の話は、きっかけにすぎない」
「そんな! それでこんな大事を、引き起こしているんですか!? どれだけの人が巻き込まれていると……」
「そうですよ。おかしいでしょう? でも僕はあなたに惹かれて恋をしている。ただそれだけの男です」
「でも……東雲さんは、あの時……」