清くて正しい社内恋愛のすすめ
「あぁいうタイプのホテルは、自分がメインじゃなきゃ話も聞かないんだよ」

「……え?」

 穂乃莉は加賀見の話の意図がわからず、小さく眉を潜めた。

 Sランクホテルとして、ツアーの目玉にするだけでは不十分ということだろうか?


「陵介、どういうことだ?」

 相田が横から口を開く。

 加賀見は相田に鋭い視線を向けた。

「今までにないプランを提案した方が良いと思います。“東雲”に泊まることだけを目的にするプランを」

「ど、どういうこと? でもそれじゃあ、一般の宿泊予約と変わらないんじゃないの?」

 穂乃莉はわけがわからない。


「“東雲”がどうしてツアー客を取らないと思う?」

「それは……個人旅行だけで、宿泊がいっぱいになるから?」

「そう。“東雲”に泊まりたくても、予約が取れないぐらい人気だから。つまり“東雲”に泊まることを目的にしているお客様が、いっぱい来るからなんだよ」

「でも、それじゃあ。どんなプランを提案するっていうの?」

 加賀見はゆっくりと立ち上がると、前に出てホワイトボードに図を書き出した。
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