清くて正しい社内恋愛のすすめ
 ――加賀見の言うことはもっとも……。


 穂乃莉はしばらく考え込んでいたが、「あっ」と声を漏らすと顔を上げる。

「じゃあ、とことんランクを上げてみるのはどう? “東雲”の施設を堪能して、心と身体を癒す極上ツアーにするの」

 他の観光地は巡らずに、“東雲”の施設で贅沢に過ごすことだけに特化したツアー。

 ゆとりのある時間で“東雲”の施設を隅々まで堪能することができるプランであれば、“東雲”にとってもツアー客を受け入れるメリットになるだろう。

 そして穂乃莉たちにとっては、大きな目玉商品になる。


「私、それ賛成ですぅ! 絶対に行きたいです」

 花音が目を輝かせながら手を上げた。

「個人旅行じゃなくて、あえてツアーで行きたいってこと?」

 玲子が花音に顔を向ける。

「もちろんですぅ! だって、自分で宿と移動手段を手配するのって面倒じゃないですかぁ。ツアーだったら全部会社がやってくれるし。それもひっくるめた極上ツアーなら、価格が高くても参加したい人いると思います!」
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