清くて正しい社内恋愛のすすめ
 ――あぁ、もうダメだ……。


 穂乃莉はそれを両手で包み込むと、胸にギュッと押しあてた。


「それさ……」

「待って!」

 穂乃莉は顔を上げると、手の中でカサカサと揺れる音を聞きながら、自分の鞄にしまっていた包みを取り出す。

「え……?」

 加賀見は驚いた声を出すと、穂乃莉が差し出した透明な袋でラッピングされたものを受取った。


 そして二人は、お互いの手のひらを前に差し出す。

 二人の手の中で揺れていたのは、ピンク色のさくら貝が揺れるバッグチャームだった。


「これって、あの出張先の土産物屋のだよな……?」

 加賀見が信じられないような様子で言い、穂乃莉はそっとほほ笑む。

「私が一人でお土産を見てた時にね、びわにゃんが教えてくれたの。 “ね(がい)を叶える幸せのチャーム”だよって……。その意味は……」


「……永遠の愛を誓う」

 加賀見が重みのある低い声を出し、穂乃莉はこくんとうなずいた。


 二人はお互いの瞳の奥を、愛しそうにじっと見つめ合う。

 加賀見はゆっくり腕を伸ばすと、優しく穂乃莉を抱き寄せた。
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