清くて正しい社内恋愛のすすめ
 その日の午後、穂乃莉たち国内チームは大会議室に集まっていた。

 緊急で社内会議が開かれることになったのだ。

 招集されたメンバーは、全部署の役職者やそれにあたる責任者たち。

 難しい顔つきで腕を組む社長の大島を取り囲むように、ぐるりと一同が座っている。


 ここまでのメンバーが集まったことは未だかつてない。

 何が話し合われるのか全く予想のつかない面々は、ざわざわと落ち着きのない様子を見せている。

 穂乃莉たちは会議室の後方に並んで座り、じっとその様子を見つめていた。


 しばらくしてメンバーが全員集まったことを確認すると、社長の合図とともに加賀見がおもむろに立ち上がる。

 穂乃莉は、みんなの前に立つ加賀見の整った顔を見つめながら、昨夜の加賀見との会話を思い出していた。



 昨夜、溺れるように愛しあった二人は、シーツの中で静かに見つめ合っていた。

 まだ熱い身体を持て余すように穂乃莉がギュッと抱きつくと、加賀見もそれに応えるように穂乃莉を長い腕で包み込む。
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