清くて正しい社内恋愛のすすめ
 こんなに情熱的に相手を求め、また求められたのは初めてだ。

 穂乃莉は恥じらいつつも、再び加賀見にキスをせがむ。

 何度も唇を重ねるうちに、穂乃莉は加賀見の腕の中でまどろみだした。

「穂乃莉は休んでいいよ」

 加賀見がそっとささやき、穂乃莉は頭をなでる加賀見の指の動きに誘われるようにスッと眠りに落ちていった。


 どれくらい眠っていたのだろう。

 ふと目を覚ました穂乃莉は、隣に加賀見がいないことに気がついた。

 身体をゆっくりと起こしながら辺りに目をやると、加賀見は窓際でじっと外を見つめている。


「……加賀見?」

 その厳しい顔つきにドキッとしながら穂乃莉が小さい声を出すと、加賀見ははっとしてこちらを振り返った。

「ごめん、起こした?」

 加賀見は手に持っていたスマートフォンをテーブルに置きながら、再びシーツに足をもぐり込ませる。

 加賀見に抱き寄せられながら横になると、穂乃莉は加賀見の腕に頭を乗せて身体をぴったりとくっつけた。
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