清くて正しい社内恋愛のすすめ
 昨夜のその後の出来事を思い出し、ぼんっと沸騰したように赤面した穂乃莉は、慌てて髪を耳にかけると、取り繕うように下を向く。

 これから需要な会議が始まるというのに、気を引き締めなければ……。


 今朝加賀見は出社するとすぐに、穂乃莉と相田を連れて社長室へ向かった。

 そして今現在、久留島本店に何が起きているのかを大島と相田に説明した。

 加賀見の話を聞き、すぐに事の重大さを理解した大島は、今回の会議を全面的に加賀見に一任すると言ったのだ。


「それでは私から、今回お集まりいただいた件の詳細を、説明させていただきます」

 ちょうどその時、室内に加賀見の声が響き、一斉に会議室に集まった面々が顔を上げた。

 加賀見は会議室内を見回すと、大島に説明したのと同じように順を追って話し出した。


 現在、久留島本店周辺の温泉街が東雲グループに買い占められていること。

 そして東雲による巨大スパ施設の建設計画が進んでいること。

 聞いている社員たちは、愕然とした顔つきで耳を傾けている。
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