清くて正しい社内恋愛のすすめ
「久留島の周辺は、昔ながらの人気の温泉街だ。当然ファンも多くいる。そこへ東雲は、今までのイメージとは全く違うスパ施設を建てて、温泉街のイメージを一新しようとしている。昔ながらのファンが反発するのは当然だよな」

「そうだけど……」

「でもその声だけじゃ、開発を止めるまでにはならないですよねぇ？」

「そう。だから、その声を大きくするんだ」

「どうやって？」

　みんなが加賀見に顔を覗き込ませ、加賀見はにっこりとほほ笑む。


「それには仕掛けが必要だ。今の環境を壊させないための仕掛け」

　加賀見は立ち上がるとホワイトボードの前に向かう。

　黒いペンを取り上げた加賀見は、さらさらと何か文字を書いた。


「星空プロムナードツアー！？」

　みんなの声が重なる。

「そう。周辺の温泉街の宿泊客を対象にした“星空ツアー”を毎晩開催する。あの温泉街は大きな明かりが少ない。だから星空が綺麗なんだ。そうだよな？　穂乃莉」

　加賀見と一緒にみんなが穂乃莉を振り返り、穂乃莉は戸惑いつつうなずいた。
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