清くて正しい社内恋愛のすすめ
「ゴーサインも何も、陵介が久留島を守るためにやるって言ってるんだから、みんなで立ち向かうしかないだろう? あの、巨大な東雲グループ相手に」

 相田の声に、納得した様子の玲子を含め、みんなは大きくうなずいた。


 すると花音が穂乃莉の近くにスッと近づくと、穂乃莉をみんなの輪の中に連れて行く。

「こうなったら、やるっきゃないね。穂乃莉ちゃん、私たちも全力で頑張るからね!」

「そうですよ! 相手のいい様にはさせません」

 穂乃莉はみんなの顔をぐるりと見回すと、涙を堪えながら深々と頭を下げる。

「皆さん。本当にありがとうございます……」

 しばらくして顔を上げた穂乃莉は、加賀見と目線を合わせた。


 ――やっぱり加賀見は、いつも私に解決のヒントをくれるんだ……。


 加賀見が隣にいてくれるだけで、自分はこんなにも強くなれる。

 これが本気で人を好きになるということ……?


 花音が、にまにまと笑いながら、穂乃莉の腕を肘でつんつんと突っついた。

「これも愛の成せる業ですねぇ」

「もう、花音ちゃん!」

 はやし立てる声が飛び交う中、会議室にはしばらくの間、明るい笑い声が響いていた。
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