清くて正しい社内恋愛のすすめ
「それじゃあ、穂乃莉は陵介と二人で、具体的なツアープランを練ってくれ。花音はその企画書のサポートを。卓は実際に高級高速バスが手配できるか等、移動手段の調整。石崎は企画書に載せる広告案の作成を進めて欲しい」

 相田が立ち上がると、ぐるりとみんなを見渡す。

 それぞれが顔を上げて、お互いに大きくうなずいた。


 あれからいくつもアイディアが出て、それを聞きながら穂乃莉の中でもツアープランが明確になってきている。


 ――これだったら、今までとは違う結果を出せるかも知れない。


 一つの宿に特化した極上ツアーなど、今まで企画したことがない。

 他社との差別化もでき、“東雲”の営業部の目に止まることも期待できそうだ。


 意見も出揃い、打ち合わせの時間も終了に近づいたころ、相田が急に顔つきを明るく変えて手を叩いた。

「打合せはここまで。これで仕事納めだ。今年もみんなよく頑張ってくれたな。年が明けたら忙しくなるからな。覚悟しとけよ」

 穏やかになった相田の声に、みんなの顔つきもほころびだす。
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