清くて正しい社内恋愛のすすめ

二度目の出張

 翌日から、国内チームは“星空プロムナードツアー”開催に向けて、怒涛の業務を開始した。

 主には穂乃莉と加賀見が久留島本店のある現地に赴き、他の四名は会社で対応にあたることになる。


「じゃあ、こっちの状況も逐一報告するから、気をつけて行って来いよ」

 相田に見送られて、穂乃莉と加賀見は新幹線に飛び乗った。

 ここ数日で、何度この列車に飛び乗っているのだろう。

 苦笑いをしつつ座席に着いた穂乃莉は、さっそくノートパソコンを開く加賀見の手元を覗き込む。


 加賀見が開いたファイルには、ツアー開始までのタスクが細かく記されていた。

「これ全部、昨夜のうちに作ったの!?」

 穂乃莉が目を丸くしながら見上げると、加賀見は得意げに鼻先を上に向ける。

「当たり前だろ? 俺を誰だと思ってんだよ」

 加賀見はにんまりと笑いながら、穂乃莉の頬をキュッとつまみ、穂乃莉は思わずぷっと吹き出してしまう。


「穂乃莉のためだと思ったら、俺はなんでもできる気がするな」

「加賀見は私のスーパーマンだね」

 くすくす笑う穂乃莉の顎先を優しく引き寄せると、加賀見はチュッと小さなキスを穂乃莉の唇に落とす。
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