清くて正しい社内恋愛のすすめ
 加賀見のキスは魔法だ。

 加賀見が隣にいれば、穂乃莉だってなんでもできる気がしてしまうんだ。


 昨夜、さすがに穂乃莉と加賀見はそれぞれ自分のマンションに帰宅した。

 今日からまた二人きりの出張ということもあるし、こんな状況の中そうそう一緒にばかりはいられない。

 それでも穂乃莉は少し残念に思いながら帰宅したのだが、きっと加賀見は自分の部屋に帰った後も休まずに仕事していたのだろう。


 ――やっぱり加賀見ってカッコいい……。


 顔つきを仕事モードに戻し、ノートパソコンを覗き込む加賀見を見つめながら、穂乃莉は頬をピンクに染める。


 想いが通じ合ってからというもの、穂乃莉の中でストッパーが外れたように、どんどん加賀見への好きだという気持ちが溢れている。

 穂乃莉は思わずぽーっとなった自分にはっとすると、気合を入れ直すように、自分もノートパソコンを座席のテーブルに開いた。


 今回のツアープランの作成にあたっては、それぞれが今までの業務の枠を超えて仕事にあたることになる。
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