清くて正しい社内恋愛のすすめ

負けられない勝負

 それから穂乃莉は時間を忘れる程に打ち合わせに集中した。

 本社から集まった社員は五名で、それぞれが専門的な知識を持っている人たちで、皆とても優秀だった。

 それに相田がうまく情報を共有してくれていたのだろう。

 穂乃莉が細かく説明をすることもなく話は順調に進み、気がついた時にはもう夕方も遅い時間になっていた。


「それではまた明日お伺いします」

「お嬢様も今日はゆっくりとお休みください」

 ひとまず今日の打ち合わせが終了し、社員たちは穂乃莉に深々と挨拶をすると応接室を出ていく。

 社員たちを玄関先まで見送り一人になった穂乃莉は、やっとほっと一息ついた。


 打ち合わせが始まってからというもの、ずっと気を張っていたような気がする。

 やはり、加賀見が隣にいるのといないのとでは、全く心の持ちようが違うのだろう。

「加賀見はもう戻ってるかな……?」

 ひとまず今日の打ち合わせを終えた穂乃莉は、居住スペースへと戻った。

 加賀見は、まだ会長の所から戻っていないのだろうか?
< 353 / 445 >

この作品をシェア

pagetop