清くて正しい社内恋愛のすすめ
『何とこちら、夜は天然のプラネタリウムに変わるんです! 素敵な庭園の雰囲気の中、心癒される音楽とガイドの解説を聞きながら星を眺める事が出来ます。元々は近隣の温泉街に宿泊した方向けに、サービスで始まったものですが、今は一般の方の参加も可能で、もう大人気なんです!』

 リポーターの煽るような口調に、スタジオのタレントたちの歓声がスピーカーから響き渡る。

 そして映像は、そのまま参加者の感想の声を流しだした。


「どういうことだ!?」

「こんなツアー、久留島にあったのか!?」

 会議室内は一気にざわつき、困惑した声があちらこちらから漏れ聞こえる。

 東雲にも、一瞬何が起きているのかわからなかった。


 ――天然のプラネタリウム……? まさかこの短期間で、その設備とツアーを用意したというのか……!?


「……社長」

 誰かが小さく声を上げ、一斉に社員が東雲を振り返った。

 東雲は机に置いた手を額に当てるとしばらく考えを巡らせていたが、隣の斎藤に目を向ける。


「SNSで話題沸騰と言っていたな。今のSNSの状況は?」

 東雲の声に、斎藤は「すぐに確認します」と小さく答えながら手元のノートパソコンを操作する。
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