清くて正しい社内恋愛のすすめ
 ――みんなの顔が見たい。きっと加賀見もそう思ってるはず……。


 穂乃莉がそう思った時、目尻の涙を指で拭いながら見守っていた相田が「それと……」と声を出した。


「穂乃莉には直接連絡が入ると思うが、久留島社長の退院が決まったそうだ」

「おばあさまの!?」

「あぁ。だから陵介と二人で有給取って、向こうに行ってきたらどうだ? 色々と話もあるだろう?」

 にこやかな相田の声に、穂乃莉は「えっ」と声を上げる。

 今まさに、祖母に会いに行きたいと思っていたところ。

 それも加賀見と一緒に……。


「いいんですか?」

 穂乃莉はみんなの顔を伺う。

「もちろんですよぉ」

「いいに決まってるじゃない! 後のことは私たちに任せて!」

「そうですよ。星空ツアーも軌道に乗ってるし、開発が止まったなら、それこそ現地に行った方が良いですよ」

 みんなの声に後押しされて、穂乃莉は加賀見を見上げる。


「じゃあ行くか!」

 加賀見がにっこりとほほ笑み、穂乃莉は「うん!」と大きくうなずいた。
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