清くて正しい社内恋愛のすすめ
 ――どういうこと!?


 驚く穂乃莉の様子はそのままに、祖母は話を続けた。

「正岡から詳細はすべて聞きました。まずは今回の事、心からお礼を言うわ。あなたが穂乃莉の側にいてくれなかったら、私は穂乃莉も久留島もすべてを失っていたでしょうね」

 祖母は一旦口を閉じると、そっと穂乃莉を振り返る。

 そして穂乃莉の顔を見て、途端に目を丸くした。

 穂乃莉はその場に呆然と立ち、ひどく驚いた顔のまま固まっていたのだ。


「あら、穂乃莉。どうしたの? そんな顔をして」

「え!? だって……加賀見とおばあさまは、今日初めて会うんじゃないの……?」

 穂乃莉には、何が何だか全くわからない。

 今日は祖母に、加賀見とのことを話すためにやってきたようなものだ。

 当然、二人は初対面だと思っていたし、加賀見からも祖母と会ったことがあるなんて、今まで一言も聞いたことがなかったのに。

 混乱するように首を振る穂乃莉に、加賀見と祖母は顔を見合わせてくすりと笑っている。


「おやおや、皆さまどうされたんですか?」

 その時、正岡がトレーにお茶を持って現れた。
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