清くて正しい社内恋愛のすすめ
 花音は楽しそうに笑うと、穂乃莉の肩をバシバシと叩く。


 ――どういうこと……?


 モヤモヤがさらに上塗りされた気分だ。

 さっき一気飲みしたアルコールも相まって、だんだんと思考力まで低下してきているのだろうか?


「穂乃莉さん、絶対に何かあったでしょう?」

 花音がにまにまと口元を引き上げると、今度は穂乃莉の肩をつんつんと指でさした。

 花音に身体を揺すられながら、じっと考える。

 恋愛ごとに敏感な花音だったら、この気持ちの正体に答えをくれるだろうか。


「ねぇ、花音ちゃん……」

「はい?」

「私って、今どんな顔してる……?」

 気恥ずかしそうに声を出す穂乃莉に、花音は少し驚いたような顔をしていたが、しばらくしてジーッと穂乃莉の瞳を覗き込みだした。

 そして納得したように深くうなずく。


「はっきり言いましょう」

「う、うん……」

「ずばり! 穂乃莉さんは今……恋してますね!」

 花音は人差し指をピンと立てると、いつになくハキハキした口調で言った。
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