清くて正しい社内恋愛のすすめ
エピローグ
「女将、専務。おかえりなさいませ」
本店に着いた穂乃莉と加賀見は、笑顔の従業員に出迎えられる。
「執務室にいるから、何かあれば内線を」
穂乃莉は従業員に手短にそう伝えると、加賀見と共に執務室へと向かった。
頭の中は、まださっきの余韻が残ったままだ。
穂乃莉は静かな廊下に響く、絨毯をこする足音だけに耳を澄ませていた。
部屋の前まで来ると、穂乃莉が両開きの扉の取手を引き、二人は室内へと入る。
重い扉が背後でバタンと低い音を響かせた途端、二人はお互いをぎゅっと抱きしめ合った。
「穂乃莉、本当にありがとう」
加賀見はそう言いながら、穂乃莉のおでこに、こつんと自分の額をぶつける。
「お母さまと東雲さん。二人の仲を取り持ちたいっていう、陵介の気持ちが通じたんだよ……」
穂乃莉は加賀見の背中に回した手を、優しくぽんぽんと動かした。
「これでやっと、心のつかえが取れた」
「二人とも、泣いてたね」
「あぁ、そうだな」
「もう、大丈夫だよね」
「きっと大丈夫だよ。だって親子なんだから」
加賀見の言葉に、穂乃莉はそっと顔を上げる。
本店に着いた穂乃莉と加賀見は、笑顔の従業員に出迎えられる。
「執務室にいるから、何かあれば内線を」
穂乃莉は従業員に手短にそう伝えると、加賀見と共に執務室へと向かった。
頭の中は、まださっきの余韻が残ったままだ。
穂乃莉は静かな廊下に響く、絨毯をこする足音だけに耳を澄ませていた。
部屋の前まで来ると、穂乃莉が両開きの扉の取手を引き、二人は室内へと入る。
重い扉が背後でバタンと低い音を響かせた途端、二人はお互いをぎゅっと抱きしめ合った。
「穂乃莉、本当にありがとう」
加賀見はそう言いながら、穂乃莉のおでこに、こつんと自分の額をぶつける。
「お母さまと東雲さん。二人の仲を取り持ちたいっていう、陵介の気持ちが通じたんだよ……」
穂乃莉は加賀見の背中に回した手を、優しくぽんぽんと動かした。
「これでやっと、心のつかえが取れた」
「二人とも、泣いてたね」
「あぁ、そうだな」
「もう、大丈夫だよね」
「きっと大丈夫だよ。だって親子なんだから」
加賀見の言葉に、穂乃莉はそっと顔を上げる。