清くて正しい社内恋愛のすすめ
「そ、そうなの……!?」

「はい。バッチリ顔に書いてありますよぉ」

「ど、ど、ど、どこに!?」

 慌てて両頬を押さえる穂乃莉に、花音はころころと笑い声をあげた。


 ――恋……? 私、加賀見に恋してるってこと!? 虫よけだよ!? 契約恋愛だよ……!?


 心の中で叫びながらも、花音の言葉にうなずきそうになる自分がいる。

 今こんなにもモヤモヤしているのは、そういうことかもしれない。

 三ヶ月限定で、しかも虫よけの“契約恋愛”だったとしても。


 ――つまり、このモヤモヤの正体は……嫉妬?


 加賀見が他の女性と親しくしているのを見るだけで、こんなにも不安定になるほど、自分は加賀見に心を奪われていたのか。


「穂乃莉さんって、本当にピュアですよねぇ」

 花音はしみじみと噛みしめるようにそう言うと、再び持ってきたお皿にのったパスタを、美味しそうに頬張った。

 その様子を横目で見ながら、穂乃莉は大きくため息をつき、ガックリとうなだれる。
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