清くて正しい社内恋愛のすすめ
「でも穂乃莉は違う。自然に俺の心へスッと入ってくる。だからこんなに惹かれるんだな」

「加賀見……」

「穂乃莉のお節介、お願いしてもいいか? 俺もこのままにしておきたくない」

 加賀見の声に、穂乃莉はパッと笑顔になると大きくうなずいた。

「もちろん!」

 ちょうどその時、会場内にアナウンスが流れ、それと共に徐々に室内は暗くなる。

 穂乃莉は加賀見に肩を優しく抱かれ、そのままシートにゆっくりと沈み込んだ。


「穂乃莉、ありがとう」

 加賀見が耳元でささやく。

 穂乃莉はこくんとうなずくと、そっと下から加賀見の顔を見上げた。


 会場内には心地よい音楽と共に、満天の星空が広がっている。

 まるで今この場には、目の前に広がる星々と二人以外は、何もないような感覚にすら陥ってしまう。


 するとしばらくして加賀見が穂乃莉から目線を逸らすと、少し照れたような顔をしながら、穂乃莉の額に唇を当てた。

「やっぱり、本店にカップルシートを置くのはダメかも知れないな」

「え? どうして?」

「だって……どう考えても、ロマンチック過ぎるだろ?」
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