清くて正しい社内恋愛のすすめ
「きゃ♡ お姫様抱っこ」
花音の、妙に恥ずかしい黄色い声が響く。
「ちょ、ちょっと加賀見……。一人で歩けるから。下ろして……」
穂乃莉は顔を真っ赤にさせながら、加賀見の胸元をドンドンと叩く。
それでも加賀見は無表情のまま、一向に下ろしてくれる気配がない。
「お先に失礼します」
加賀見は、穂乃莉の鞄とコートを花音から受け取ると、会場中の注目を浴びながら入り口の扉へ向かって歩き出した。
「なに!? そういうこと!?」
玲子の驚愕した声が聞こえている。
扉を抜ける際、目を見開いている白戸の顔が見えた気がした。
「お二人とも、よいお年をー♡」
花音が後ろから弾んだ声を出した。
穂乃莉は恥ずかしさでたまらなくなり、両手で顔を覆う。
「こんな大っぴらに“虫よけポジション”発動させなくてもいいじゃない」
恨めしそうに加賀見を見上げたが、加賀見は何も言わずに真っすぐと前を見ていた。
静かな歩道を、加賀見の腕の中で揺られながら、大通りに向かって進む。
花音の、妙に恥ずかしい黄色い声が響く。
「ちょ、ちょっと加賀見……。一人で歩けるから。下ろして……」
穂乃莉は顔を真っ赤にさせながら、加賀見の胸元をドンドンと叩く。
それでも加賀見は無表情のまま、一向に下ろしてくれる気配がない。
「お先に失礼します」
加賀見は、穂乃莉の鞄とコートを花音から受け取ると、会場中の注目を浴びながら入り口の扉へ向かって歩き出した。
「なに!? そういうこと!?」
玲子の驚愕した声が聞こえている。
扉を抜ける際、目を見開いている白戸の顔が見えた気がした。
「お二人とも、よいお年をー♡」
花音が後ろから弾んだ声を出した。
穂乃莉は恥ずかしさでたまらなくなり、両手で顔を覆う。
「こんな大っぴらに“虫よけポジション”発動させなくてもいいじゃない」
恨めしそうに加賀見を見上げたが、加賀見は何も言わずに真っすぐと前を見ていた。
静かな歩道を、加賀見の腕の中で揺られながら、大通りに向かって進む。