清くて正しい社内恋愛のすすめ
「もう、なんなのよ……」
穂乃莉は一人取り残されたフロアで、椅子に寄りかかると天井を仰ぐ。
白戸の言い分は身勝手だと思った。
自分の気持ちをぶつけるだけで、相手の立場になって物事を考えられていない典型だと。
だから加賀見が誠意をもって話しても「全然伝わらない」と感じたのだろう。
でも、そんな白戸に対しても、穂乃莉は言い返せなかった。
どれだけ穂乃莉が加賀見に本気で恋していても、白戸の言うように、加賀見との交際を祖母がそう易々と受け入れるわけがない。
結局、穂乃莉と加賀見の関係は三ヶ月だけの“契約恋愛”で、それ以上でもそれ以下でもないのだ。
――あんな風に強引に間に割って入られたら、きっとたやすく壊れてしまう関係……。
穂乃莉は深く息を吐くと、のそのそとパソコンの電源をオフにする。
こんな気持ちで、大事な企画書の仕事を続けられるわけもない。
一日の最後に、どっと疲れが押し寄せてきたようだ。
戸締りを確認し、裏口で守衛さんに声をかけた穂乃莉は、もう夜も更けてきた街並みへと足を向けた。
穂乃莉は一人取り残されたフロアで、椅子に寄りかかると天井を仰ぐ。
白戸の言い分は身勝手だと思った。
自分の気持ちをぶつけるだけで、相手の立場になって物事を考えられていない典型だと。
だから加賀見が誠意をもって話しても「全然伝わらない」と感じたのだろう。
でも、そんな白戸に対しても、穂乃莉は言い返せなかった。
どれだけ穂乃莉が加賀見に本気で恋していても、白戸の言うように、加賀見との交際を祖母がそう易々と受け入れるわけがない。
結局、穂乃莉と加賀見の関係は三ヶ月だけの“契約恋愛”で、それ以上でもそれ以下でもないのだ。
――あんな風に強引に間に割って入られたら、きっとたやすく壊れてしまう関係……。
穂乃莉は深く息を吐くと、のそのそとパソコンの電源をオフにする。
こんな気持ちで、大事な企画書の仕事を続けられるわけもない。
一日の最後に、どっと疲れが押し寄せてきたようだ。
戸締りを確認し、裏口で守衛さんに声をかけた穂乃莉は、もう夜も更けてきた街並みへと足を向けた。