君の心をみせて
なのにそれにまんまと引っかかってしまったのがどこか悔しい。

私は左手で啓斗の肩をバシバシ叩く。

その間も私の右手と啓斗の左手は繋いだまま。

「ごめん、ごめんって」

そう言いつつも顔は笑っている。

「で、来る?」

「えっと」

正直心の準備ができていない。

付き合い始めてから3ヶ月。

名前で呼ぶこと、手を繋ぐこと、当たり前に横を歩くこと。

慣れたことはたくさんあるけど、啓斗の家、というのは、また別の緊張感がある。

それに、家だと、もしかしたら…なんて考えてしまう。

「あ、今変なこと考えたでしょ」

「っ!!」

つい啓斗も心が読めることを忘れて考えてしまった。
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