君の心をみせて
「ここ」

そう言って連れてこられたのは一軒家。

豪華なお家じゃないけど、選んだ人のセンスを感じられるおしゃれな家だった。

「お邪魔しまぁす」

おそるおそる足を踏み入れる。

「今日、家族みんな夜まで帰ってこないから。そんなに緊張しなくて大丈夫だよ」

「うん」

口の中だけでつぶやくような小さい声で返す。

それはどういう意味?

そんなことを思いながらじっと見つめる。

「あ、変な意味じゃないからっ。そこ上がってすぐの部屋が俺の部屋だから、待ってて」

さっきと逆で今度は啓斗が焦る。

それがなんだか面白くて、笑ってしまう。

「うん」

さっきとは違う明るい声だった。
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