君の心をみせて
初めて入った啓斗の部屋はとても啓斗の部屋っぽかった。

モノトーンに統一された家具。

綺麗に整頓された棚。

無駄なものが一切ない机の上にはひとつ、水族館で撮った私たちの写真が飾られていた。

部屋の真ん中に置いてあるローテーブルの横に座る。

部屋全体に啓斗の匂いが広がっていて、なんだか安心する。

「はい、これカフェオレのミルク多め砂糖なし」

「あ、ありがとー」

私の好きな味のカフェオレ。

いつも私がお店でカスタムする飲み方を啓斗は覚えていた。

そんな些細なこともうれしくて顔がほころぶ。

「お菓子、ポテチとかポップコーンとか色々あるけど、何がいい?」

「んー、じゃあポテチ」

私がそう答えると、手際よく準備された紙皿に分けられていく。
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