君の心をみせて
「…よかった」

そういって力が抜けたように床に座り直す。

「俺、全然普通じゃないよ。結良の前でカッコつけたくて、普通なフリしてた」

啓斗が恥ずかしそうに顔を背ける。

「俺だって何話していいかわかんないし、俺の部屋に結良がいるのがなんかやばいし、さっき自分で変なことしないとか言ったのに自分のベッドがチラつくし。必死で何ともないように装ってたんだよ」

話している啓斗を見つめながら頬が緩む。

「けど、一緒だったんだね」

「だね」

なんとなく緊張が抜けて、二人でしばらく笑った。



「また、おいでよ」

玄関を出て家の前で振り向く。

「うん」
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