君の心をみせて
〔いつか、家族に会わせたいって言ったら引かれるかな〕

「今度、啓斗のお母さんとか、会いたい。挨拶もしたいし」

啓斗と長く付き合ってくつもりだから。

そう思いながらなんでもない顔をして啓斗を見る。

啓斗は驚いた顔をして、それから笑顔になった。

「わかった」

「じゃあ、また明日ね」

「気を付けて」

私は手を振って歩き出す。

ふと思い立って振り返るとまだ啓斗はこっちを見ていた。

啓斗は高く大きく手を振っている。

私は啓斗の方に向かって歩き出した。

〔ん?どうしたんだろ〕

そのまま啓斗の前で止まる。

「結良?なんかあっ…」

啓斗が言い終わる前に私は背伸びをした。
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