君の心をみせて
途中で礼奈が少し指に力を入れたのが伝わって、俺は笑う。

「あー、幸せだー!」

俺の声が住宅街に響く。

「ちょっと!叫ばないでよ、迷惑でしょ!」

そう言いつつ笑顔の礼奈。

腕を止めて、礼奈を引き寄せる。

俺は少し屈んでキスをした。

今までで1番大事なキス。

今まではなんともなかったはずなのに、触れる前に少し体がこわばった。

離れると礼奈は顔を背けた。

真っ赤の耳と頬がのぞく。

「ファーストキス」

「え?」

一瞬耳を疑う。

「だから、大事にしてね」

当たり前だよ。

その気持ちを込めて手をもう一度強く握り直した。

~彰side End~
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