添い寝だけのはずでしたが
「いや、お前が嫌がってるんだろ? 俺はお前と一緒にいたいけど……」


「え?」


 今度は私が首を傾げる番だった。


「離れて、寂しくなった? 今夜は俺が添い寝してやろうか」


 ニヤニヤと笑っているから、背伸びをして両頬を手で押さえつける。


「ふがふが……」


「もう何も言わないで」


「そっちがその気なら、こうだ」


 羽交い締めするように抱き着かれて、逃げようとすれば逃げられるのにそうすることができない。


しかも、なんだか嬉しいのはどうしてなのかな……。


「あー、抵抗しないんだな……これはやばい」


「え……あ、何するのよ。離れて」


何か言いたげに笑っているから、慌てて押し返した。


ちょっとだけ、葵さまとこうやってじゃれてるのが楽しい……って思っちゃった。


しかもそのことに、気付かれてる。


「笑わないで」


「笑ってねーよ」


「そう、そうだよ! 葵さまには、他に聞きたいことがあるの」


 エマちゃんとのこと……。


 ふたりの間には何もないと思いたいけど、確認したくて仕方がない。


 自分でもこれがどういう心境なのか分からない……。

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