添い寝だけのはずでしたが
「おう、何でも聞くけど」


「あ…あのね……昨日……」


その時いきなり大粒の雨が降り始めて、風が吹いていたこともあり一気にびしょ濡れになってしまった。


「やばっ」


「きゃあっ」


 大急ぎでふたりで、カフェテラスの中に戻る。
 

この短時間で髪は濡れ、顔にも雨粒がたくさんついている。


「ぷはっ、葵さまの顔すごいことになってる!」


「お前もな」


 ハンカチを出して葵さまの顔を拭いていると、遠巻きに渋谷くんがこっちを見てこのみちゃんたちとコソコソ話しているのが目に入ってきた。


「あいつ……」


私が止めるのも聞かず、葵さまがズンズンとそちらの方へ歩いて行く。


「おい渋谷、何か言いたいなら直接言えよ」


「あはは、なんかすげえ決戦だなって話してた。でも笑ってるし、和解したんだよな?」


「決戦って何のことだよ……」


 葵さまと目が合ったこのみちゃんが話し始める。


「昨日エマちゃんと部屋に入って行ったよね? それで怒っていいよって、私が寧々ちゃんをけしかけたの」


「昨日? ああ……あれか……」


 何か言おうとして、葵さまはやめてしまった。


 そのまま話してくれるかと思ったのに、もう何も言わない。


 どうして? 気になるよ……!


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