添い寝だけのはずでしたが
チラリと後ろを振り返ると、葵さまは壁際にいる私とは反対方向……部屋の中央に体を向けていて、目を閉じているのかすら分からない。


隣にさっき会ったばかりの人がいて、メイド服のまま私は一体何をすればいい!?


添い寝係って、きっとただ横に寝転ぶことじゃないよね?


今さらながら、そんな初歩的なことに気付く。


安心できるように背中を撫でるとか?


ううん、さっきも冷ややかな態度だったし、俺に触るな!なんて言われるかもしれない。


険悪な雰囲気になるのも困るし、ここは様子を見ながらだよね……。


「葵……さま? もう、眠りにつかれましたか……」


そっと声を掛けると、呆れた声が返ってきた。


「他人が同じベッドにいて、眠れる気がしない」


 ごもっともです……。


「申し訳ございません……」


「あと少ししたら、出て行け」


え……?


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