添い寝だけのはずでしたが
私はどう?


葵さまのことを好き……?


ご主人さまとしてお慕いしているだけなのか、男性として意識をしているのかそれさえもハッキリとしていない。


それ以前にメイドの私が葵さまと付き合うなんて、考えちゃいけないことのような気がする……。


 部屋をノックする音が聞こえて外に出ると、美沙さんが立っていた。


「寧々さん、少しの間だけ葵さまのことを、そっとしておいてもらえるかしら」


まさかさっきのことを知ってる?


そう思ったけど、どうもそうではないみたいで……。


「合宿でのことが社長の耳に入ってしまって、葵さまがしたことを責めているの」


「そうなんですね、私のせいで……申し訳ありません」


 軽率な行動をとった為に、迷惑をかけてしまった。


「私は、そういう時に損得勘定なしに行動できる葵さまを誇りに思うわ。社長はご自分の体裁しか考えないところがあるから、他人の気持ちまで理解しようとしないのよね」


「…………」


「寧々さんは何も悪くない。ただ少し、今までよりはよそよそしく振舞って欲しいの。ふたりがお似合い過ぎて、嫉妬する人がいるから」


 お似合いって……私たちが?


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