添い寝だけのはずでしたが
こういうときは少し距離を置いた方が良さそうだ。


廊下に渋谷の姿が見えたから、そっちに行くことにした。


「先に行ってろよ。これよろしく」


 カバンを渡すと真剣な表情で頷く。


「畏まりました」


 敬語かよ……。


 出会った時以来だな。


 これは相当嫌われたとみた。


 渋谷がいる場所まで移動して、声をかける。


「合宿では迷惑かけた。でも助かった、ありがとな」


「おお、無事生還? 大変だったな~」


 心配しているような口ぶりだが、顔はやたらとニヤついている。


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