添い寝だけのはずでしたが
一番奥の……突き当りだ。


猛スピードで走って行くと、教室の中に寧々が座っていた。


「葵さまっ……」


 その顔は泣きじゃくっていて、今まで見たこともない顔をしていた。


 なんでこんなこと……。


 怒りが溢れると共に、会えた嬉しさととてつもない悔しさで感情が溢れ出しそうになる。


 いや、今は感動してる場合じゃない……。


閉まっているドアが開かないことに気付いて必死に開けようとするが、びくともしない。


「くそっ……おいっ! 後ろに下がってろ」


 ドアはどうにもならないことが分かり、通路に面している窓を思いっきり蹴ると、ガラスが派手に飛び散った。


 そこから教室の中へと入って、寧々の元へと駆け寄る。


「大丈夫か? 怪我はないか」


 寧々の体を確認すると、特に怪我はないように見えた。


「うん……大丈夫……怖かった……」


「よかった、無事で」


 勢い余って寧々を抱き締める。


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