添い寝だけのはずでしたが
「だからさ、今度こそ……葵が目覚めたときに、側にいてあげて欲しい」


「渋谷くん……私にそんな大役は無理だよ……自信がない」


添い寝係なんて名ばかりで、ただ隣で転がっているだけ。


勉強できる環境を整えてもらっている私の方が、葵さまにお世話になりっぱなしなのに。


「そう言わずにさ。命懸けで守った見返りが、寧々ちゃんがずっと側にいてくれることなら葵も喜ぶと思うよ」


 葵さまが私を助けたのは、ただ優しいから……。


 また俺に言わずに勝手なことをしてって、怒るかも
しれない。


 だけど……外で工事の音がして、建物に亀裂が入り始めたとき……このまま誰にも見つけてもらえないなら、もうダメだと思った。


 二度と葵さまに会えないんだと思ったら、涙が止まらなくなって……。


 そんなとき、葵さまが目の前に現れた。


 夢かと思った……。


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