添い寝だけのはずでしたが
「やめてっ」


「最近疲れてるよな、こういうときはリラックスして」


「葵さまは、生死を彷徨ってるんだよ……そんなときに、楽しめないよ……それに、私がいなくなって……あのあと宇治山くんはどうしてたの? 探したりしなかった?」


 勢い余って吐き出すと、宇治山くんは困ったように眉を寄せる。


「ごめん……中川のことは俺も苦手で。だけどまさかあんな酷いことをするとは思わなかった」


「それなら協力して欲しいの、先生に証言して? お願い……」


「それは、無理かな……中川が言ってたことは本当なんだ、親から勘当寸前でさ。寧々ちゃんには悪いけど……」


 そうだよね……誰だって、非情な手段で人を貶めようとするエマちゃんには逆らおうと思わないはず。


ら「分かった……もう頼まない」


 悔しくて、もう話していたくなくてこの場を去ろうとしたら腕を掴まれた。


「告白の返事、聞かせてよ」


 ええっ、今その話題なの?


 ちょっと信じられない……。


 返事をしていなかったし、ここはもうきっぱりと断ろう。


「ごめんなさい。宇治山くんとは付き合えない」


「ふーん。水島との間で揺れてるなら、意識が戻るまでの間付き合うとかでもいいけど」


 なにを言ってるんだろう……断ったのに、全然伝わってない。


「そうじゃないよ。私は……葵さまのことが……」


 好き……。


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