添い寝だけのはずでしたが
「おいおい、こんなところでなにしてるんだよ~」
 

ヘラヘラと笑いながら近付いて来たのは、渋谷くんだった。


 こんなところを見られて誤解されたらと思うものの、今は来てくれて良かったと思うばかり。


 渋谷くんは私たちに近付いて来たかと思うと、宇治山くんの腕を思いっきりひねり上げた。


「痛っ!!」


 相当痛かったのか、宇治山くんは地面に這いつくばって苦しんでいる。


「葵がいないからって、勝手なことするなよなー。寧々ちゃんの彼氏のキャンセル待ち1番は、お前じゃなくて俺だ」


 ケラケラと笑っている渋谷くんを見ていると、深刻な雰囲気になることもなくてなんだか救われた。


宇治山くんをそこに残して、ふたりで歩き出す。


「ありがとう……」


「いやいや、礼には及びませんって。それより大丈夫? チューとかされなかった?」


「えっ!? されてないよ」


 唐突過ぎる発言に、びっくり。


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