添い寝だけのはずでしたが
よく知っている声が聞こえて振り返ると……


そこに葵さまが立っていた。


「葵さま……」


「葵っ!? 嘘だろ……本物か!?」


 渋谷くんが葵さまの元へ駆け寄って、ベタベタと触りまくっている。


「やめろよ」


 言葉では嫌がっているけど、その顔は緩やかでとても嬉しそう。


「いつ目覚めたんだよ! おいっ、心配させるなよ。もう二度と葵と話せないかと思って……」


 弱気な言葉を聞くと、本当は渋谷くんだって私と同じぐらい辛くて仕方なかったのだと気付かされる。



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