添い寝だけのはずでしたが
車でもうたた寝していたし、やっぱり昨日は眠れてない?


私が部屋を出て行かなかったことを怒っているなら、そう言えばいいのに。


後で直接聞いてみよう。


驚くことに、葵さまはお昼休みまでずっと眠っていた。


机に突っ伏していて、起こそうかどうか迷っていると、ひとりの男子生徒が葵さまに近寄ってきた。


茶髪で少し癖っ毛の長身男子、たれ目がちで優しい表情はとても人懐っこそうな印象を受ける。


これまた葵さまとはまた違ったタイプのイケメン。ふたり揃っているととても絵になる。


「誰かが言ってたけど、転校生と登校したって本当かよ。知り合い?」


男子生徒が葵さまと私を交互に見ている。


葵さまはなにも言わないし、私が答えた方がいいのかなと迷っていると、葵さまが私をチラリと見る。


うわ……メイドだって言っちゃう?


身構えていると、葵さまが口を開いた。


「詳しくはまた話す……事情があってしばらく一緒に登校する」


身構えていたけど、葵さまは重要なところをぼかしてくれた。


少しは優しい一面もあるのかな。


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