添い寝だけのはずでしたが
「へー。それにしても、葵と同じ車で登校ってマジ地獄だな。大丈夫だった? あ、俺は渋谷太郎(しぶやたろう)ね。よろしく~」


かなり親しい友達なのか、そんな言い方をされて怒るのかと思えば、葵さまは少し笑っている。


友達の前ではこういう顔もするんだね。
 

違った一面を発見した気がして、なんだか嬉しくなる。
 

とりあえずペコリと頭を下げて、後はふたりの会話を横で聞いていた。


渋谷くんと話しているうちに、葵さまの表情がだんだん緩んできた。


なんだかとても楽しそう。
 

私も早くこういう関係になりたいな……。
 

ハッ。
 

それはないよね。
 

あくまで主従関係なんだから。


「話に入りたい? 印象的な瞳だね。その目で見つめられたら俺までドキドキする」
 

渋谷くんが私に手を伸ばしてきて、ビクッとした。


警戒して体をのけぞる前に葵さまがその手を払った。



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