添い寝だけのはずでしたが
「前に、寧々が語ってたよな。お前の給食愛を」


 そうだっけ?


「ああ……そういえば、転校したての頃、葵さまに庶民だって蔑まれたよね」


「そうじゃない。あのとき、そういう考えもあるんだなって感心した。金銀学園は小中は弁当持参で給食を食べたことがなかったんだ」


「そ、そうなの!?」


「寧々のことを好きになって、そういうことに携わる仕事もやってみたいと思うようになって……今やっと、夢が叶った」 


「そうだったんだ……」


葵さまの夢って、私がきっかけで生まれたの?


なんだかそれって感動……。


「良かったね」


「ああ……今日はこっそり行くつもりだったけど、俺のオーラを隠しきれずにすまない」


「相変わらずだよね。ふふっ、会えてすっごく嬉しい」


「俺もだ……そうだ、寧々に見せたい物がある」


そう言って、部屋の隅に置いてあるバッグの中から何かの箱を取り出し、隣に座った。


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