添い寝だけのはずでしたが
しかもこちら側の鍵は壊れているのか、何度回しても空回りするだけ。


「ねえ、ドアが開かないの。そっちから開けてくれない?」
 

何度か声を掛け、ドンドンとドアを叩くけど一向に反応はない。
 

これは……一体どういうこと?
 

どうしよう、出られない。
 

そのうち5限目開始のチャイムが鳴り、途方にくれる。
 

葵さまに連絡をしようにも連絡先を聞いていないことに気付く。
 

困り果てていると、数時間が経過した頃に誰かが部屋の中へ入って来た。


「ええっ……びっくりした。どうしてここに?」


私を見て驚いるのは、ひとりの男子生徒。


真ん中で分けられた前髪は両サイドに流してあり黒髪も艶やかで、物腰の柔らかい優しい印象を受ける。


「ドアが開かなくて困ってたの。とにかく助かりました。ありがとう……」
 

部屋を出ようとしたら、その人がハッとした。


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