添い寝だけのはずでしたが
「とにかく、嫌だからとかそういうことじゃないの……」


「ふーん……」


葵さまは少し考えるようにしていたけど、それ以上は何も聞いてこなかった。


このまま寝ているわけにもいかないよね。


起き上がろうとしたら無理やり寝かされてしまった。


「無理するな。そんな感じでメイドが務まるのか? 先行き不安だな」


「体力には自信があるから大丈夫だよ。さっきはお腹が空き過ぎて……」


「食べてないのか? 正真正銘のバカだな」
 

うっ……言い方キツ過ぎでしょ。
 

これが自分の主だと思うと、ガッカリする。


「はー……」


「何のため息だよ」


「シンプルに、嫌なご主人様だなって」


「その嫌なご主人様にここまで運ばせて。お礼のひとつも言って欲しいもんだけどな」


葵さまが運んでくれたの?


どうやってここまで来たのか疑問だったけど、それを聞いてちょっと驚いた。



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