添い寝だけのはずでしたが
「水島さん、前に出て来て解いて下さい」
 

先生に当てられたのは、葵さま。
 

どれだけ困っているかと思えば、涼しい顔をしたまま


立ち上がり前に出ている。


いつでもポーカーフェイスだよね。
 

葵さまは、サラサラと黒板に回答を書いている。
 

適当にやってる!? それとも、今そこで考えて解いてるってこと?


とてつもなく長い公式を書き、やっとのことでそれを書き終えた。


「さすが水島さん、パーフェクトだ」
 
先生が拍手をすると、クラス中で歓声が沸き上がる。
 

え……あの問題を解いたの!?
 

葵さまは席に戻ってきてニヤリと笑った。


「そんなに驚いてどうした?」


「すごいね……」


「まあな。特進クラスであのぐらい解けないとまずい」


「とっ……特進!?」


問題が高度過ぎるはずだよ。


どうして私がこのクラスにいるのかってことは聞くまでもない。


葵さまと同じクラスに編成されただけのこと……。


「そんなに驚いてどうした」


「本当のことを言うと、全然分からなかったの。普通クラスに行きたい……」


「俺にレベルを下げろって?」
 

うっ……。


「私たち、違うクラスでもいいよね」


「俺は嫌だ」
 

嫌ってどういうこと?


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