添い寝だけのはずでしたが
葵さまが遠回しに言ったように、やっぱりエマちゃんが?


ううん、そうだとは言い切れないよね……。


「誰にやられたの?」


「え……それは……ちょっと分からなくて……」


「だろうね、水島の驚異的なファンが学園内にたくさんいるからな。ただの知り合いだと島流しだけど、さすがに彼女となったら手を出せないもんな……守ろうとしてくれてるのかもな」
 

そ、そうなのかな……。
 

葵さまはいつも気まぐれだし、本当の理由はよく分からない。
 

返答に困っていたら、宇治山くんがハッとする。


「そうだ、期末テストの対策大丈夫? 転校したばかりだし、不安じゃない?」


「不安……」


つい、本音が出る。


出会ったばかりなのに、弱みを見せてもいい気がしてしまうから不思議。


「一緒だよ。本当のこと言うと、俺も結構焦ってる」
 

隠さず話している割には、なんだか照れ臭そう。
 

正直な人なんだろうな……。


「テストに出そうなところを一通りまとめたやつがあるから、後で渡すよ」


「え……そんな、いいの!?」


「いいよ。だけど水島にバレたらまずいよな? 放課後、またここに来れる?」
 

葵さまには他の理由を言えば大丈夫なはず。


「うん」


「じゃあまた後で」
 

約束をして、宇治山くんと別れた。



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