添い寝だけのはずでしたが
帰りに買い物があるから別行動したいと伝えると、葵さまは特に何も言って来なかった。
 

まあ、そんなものだよね……。
 

放課後に同じ場所へ行くと、宇治山くんが待っていた。
 

そしてカバンから黒くて小さな記憶媒体を取り出す。


「これ、使って。テストに出そうなところを一通り入れてる」


「本当にありがとう……」


「これは予備だからあげるよ。同じところが出たら、すごいって誉めてもらえるだけで嬉しい」
 

無邪気に笑う姿を見ていたら、今日までの色々な疲れが吹っ飛ぶ気がした。


「すごく助かる」


「うん、これで一緒に頑張ろう」


宇治山くんの好意と共にそれを受け取り、しばらくそこで一緒に過ごした。

 
話が弾んで、すっかり帰宅が遅くなってしまった……。


お屋敷に戻ると、葵さまが玄関に仁王立ちしていた。
 

え……どういうこと?



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